放射線源交換時被ばく事故レポート#8
放射線被ばく事故に関する放射線医学総合研究所からの最終報告
被ばく者2人は,被ばく線量の精査を目的として7月7日から10日までの4日間,放射線医学総合研究所(放医研)病院に入院しました.
A氏については最も多量の線量を浴びたと考えられる手指に被ばく後10日になっても紅斑・浮腫などが認められず,サーモグラフィー検査においても偏側性に有意の血液量の低下が認められませんでした.また,血液学的,生化学的検査においても異常は認められませんでした.線量総合評価において,手の最大被ばく部における線量は78mSv以下,眼球の被ばく線量は1.5mSvと推定されました.抹消リンパ球1,133細胞の染色体検査では,放射線被ばくに起因する二動原体や環状染色体は出現しませんでした.
これらの結果からA氏は手指に障害を来たすような放射線被ばくを被っておらず,またバックグランドレベルを大幅に上回るような全身被ばくを被らなかったと確認されました.
B氏についてもA氏とほぼ同様の検査を行いました.被ばく線量の再評価において,線源に触れた可能性のある左手指表面の被ばく線量は13Sv,指1cm・の平均線量は0.3Svと評価されました.B氏もA氏のごとく手指に障害を来たすような放射線被ばくを被っておらず,またバックグランドレベルを大幅に上回るような全身被ばくを被っていないことが確認されました.
今後の方針としては,抹消循環改善の目的で服用していた薬物も中止としています.今後,臨床観察は,琉球大学病院で継続することになりました.